お鍋や漬物に欠かせない野菜である白菜は中国や台湾では「財運をもたらす」とされる縁起物です。このページでは白菜の縁起物としての意味や由来を紹介しています。
白菜は『百財』と転じて財運アップの縁起物
白菜はアブラナ科アブラナ属の植物で、カブ、キャベツ、カラシナなどと同じ仲間で、原産地は中国です。古代中国の華北で栽培されていたカブの類が南下して、華中のチンゲンサイの類と交雑種で、葉が広がったままの不結球の白菜が生まれました。それを冬の時期に貯蔵した野菜を必要とする華北で結球した白菜に育てられ、清の時代に結球した白菜になったといいます。
日本には明治時代に伝わってきました。日清・日露戦争時に現地で白菜を食べることに慣れた兵士が帰国し食べ方などを伝え、昭和初期には全国各地で普及したとされています。
白菜は、日本では縁起の良い食べ物としてはあまり馴染みがありませんが、中国や台湾では「財運をもたらす縁起の良い食べ物」と言われています。
その理由は「白菜」の中国語の発音が、「百財」(たくさんの財産)と同じ発音であることと、葉の一枚一枚がだんだん大きくなって膨らんで大きくなっていくことから、「財産も大きくだんだんと増えるように」ということで縁起が良いとなったようです。
台湾国立故宮博物院の至宝「翠玉白菜」
中国の清王朝の皇帝も、財運を上げる目的から翡翠(ひすい)で白菜の置物を好んで作らせました。
中でも有名な「翠玉白菜」は、手のひらよりやや大きめの、白と緑のヒスイ輝石の原石で作られていて、みずみずしい葉や、原石本来の色を生かした深い奥行きのある造形で、この石の色を生かした玉器工芸は「俏色」(しょうしょく)と言い、紫禁城の永和宮の瑾妃の寝室で見つかったもので「純潔の象徴」とされていたようです。
現在では、台湾の国立故宮博物院に収められ同館を代表する名品の一つに数えられています。
この玉器工芸の白菜の置物は、清朝末期ごろでは、皇妃の嫁入り道具の一つとされ、「清廉潔白」の象徴としても好まれていました。
現在でも、中国や台湾の飲食店では白菜の置物があるところが多く、葉を玄関の方に向けて飾ると、財運を取り込みやすくなると言われ好まれています。
また、白菜の上ににバッタやキリギリスなどの昆虫が付いている物もありますが、これは多産と子孫繁栄の吉祥の意味があります。
白菜を食べて健康運もアップ?!
そんな「縁起」もとっても良い白菜ですが、縁起だけでなく、中国では、白菜・大根・豆腐とで「養生三宝」と言われ、これを食べてれば医者はいらないと言われるほど、健康効果の高い野菜なのです。
味がたんぱくであまり栄養が無いように思えますが、実はビタミン・ミネラル・食物繊維がバランスよく豊富に含まれ、他にはそう無い野菜なのです。
また、うれしい事にカロリーはとっても低く、100グラム食べてもたったの14カロリーですし、白菜に含まれる「モリブデン」というミネラルが、糖や脂質の代謝を促進する働きのある栄養素ですから、ダイエットの方や糖尿病で血糖値の急上昇を抑えたい人にも良い野菜です。食事の最初に食べるのが良いようで、満腹感もありますから、食べ過ぎ防止にもなります。
また、カリウムが多いので、余分な水分を代謝してむくみの改善や予防にもなりますし、高血圧の予防にもおすすめです。
最近では、美容効果にも注目されて、豊富な食物繊維と白菜に含まれる水分が、便秘解消に役立ち、美肌効果も期待されています。意外なのは、ビタミンCの多さで、リンゴの5倍、ざくろの2倍もあるのです。
ビタミンCは美容には欠かせない栄養素で、抗酸化作用が高いですら、老化予防やコラーゲンの生成にも役立ちますし、シミの予防にもなります。
ビタミンCのもう一つの大きな役割の「免疫力アップ」もありがたいですし、先ほど述べた
「モリブデン」というミネラルは発ガン物質の一つである「亜硝酸アミン」の吸収や蓄積を予防してくれますのでガン予防の効果も期待されているのです。
調理法は、過熱には弱い栄養素が多いので、漬物や最近ではサラダもおすすめです。
過熱するときは、短時間での調理で、大事な栄養素を壊さずに摂れるようにしてください。
縁起が良いだけで無く、体にもとっても良い「白菜」をたくさん食べて、財運も健康も取り込みたいものですね。
コメント