蓮(ハス)は中国で縁起の良い花なのに日本では逆?その理由が興味深い

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仏教を象徴する花である「蓮(はす)」極楽に咲く神聖な花として知られています。中国やインドでは縁起の良い花としてよく知られていますが、日本では少し事情が違うようです。この記事では縁起物としての蓮の由来などを紹介しています。

目次

仏教に欠かすことができない蓮の花

お寺に安置される仏像が蓮の花の上に乗っている姿を見た事がある方も多いかと思います。蓮の花は仏教と密接に関係していて、釈迦の教えが込められた神聖な花とされています。大乗仏教の経典の一つ「阿弥陀経(あみだぎょう)」というお経の中に読まれた「蓮華の五徳(れんげのごとく)」に蓮の花の五つの特徴が示されています。

仏教ではこの五徳が仏の道を歩む上で正しい姿だという教えがあります。

蓮華の五徳の要約
  1. 淤泥不染の徳(おでいふぜんのとく)泥に染まらずに美しい花を咲かせる
  2. 一茎一花の徳(いっけいいっかのとく)一つの茎に一輪の花を咲かせる
  3. 花果同時の徳(かかどうじのとく)花と同時に実をつける
  4. 一花多果の徳(いっかたかのとく)一つの花にたくさんの実をつける
  5. 中虚外直の徳(ちゅうこげちょくのとく)空洞があり、強くまっすぐ伸びる

蓮の花は清らかな水では小さな花しか咲かず、泥水だからこそ大輪の花を咲かせることができます。仏教では蓮が花を咲かせる様子を悟りの道と捉えて、苦労や悲しみがないと人間は悟ることができない、大輪の花を咲かせることができないと考えられてきました。

特に、女性の生き方として、「蓮の花」のような女性が求められ、高貴で美しいうえに、困難にも負けず、汚れたものにも染まらずに、美しく花を咲かせるということが何よりも素晴らしいとゆうことで、皇后になる者に求められた資質だったようです。

釈迦が蓮の花を高く掲げ、無言で伝えたのには、「この蓮の花が全て語っている」ということなのでしょう。それを理解して、微笑で返した弟子だけに仏法を伝えたと言われます。蓮の花の花ことばに「雄弁」というのもありますが、これは「多くを語らない雄弁さ」ではないでしょうか?

また、産まれたばかりの釈迦が歩いた足跡から蓮の花が咲いたとの言い伝えもあり、特に仏教信仰が厚い国では神聖な花とされています。

蓮の花が持つ意味やイメージ

古代中国では、「俗人に染まらぬ、君子の花」とされ、これは、俗人に染まらぬ清らかさの意味があるようです。
インドでは、極楽浄土は蓮の花の形と言われ、インドの数々の神様と一緒にモチーフとしてたびたび登場し、エジプトでも神聖な花とされて、ツタンカーメン王の墓からも、蓮の花をモチーフとした装飾品が出土しています。

蓮の花は、信仰の厚い国々で幅広く愛されている花で、見るだけで心が洗われ、救われる花なのでしょう。
そのように生きたい、どんなに苦労があっても、いつかは美しい花を咲かせたいと願う人々の想いを反映した花と言えます。
また、地中で互いに根を絡ませながら群生することから、中国では新郎夫婦に贈る「夫婦円満を願う花」の定番としても知られています。

日本では蓮は縁起が悪い?

中国やインドでは神聖な花として知られる蓮ですが、日本では逆に縁起が良くないものとして扱われる事が多いようです。
日本でも仏教が広く信仰されているのになぜでしょうか。その理由は日本独特の宗教観(仏教観)によるものです。

本来の仏陀(仏)とは「悟りを開いた者」という意味ですが、日本では「亡なった人」という意味合いが強く、日本における仏教とは死者のためのものという考え方が一般的。亡くなった方を「仏さん」と呼ぶのは日本固有の文化です。

このことから仏教の象徴的な花である蓮も日本では「お葬式の花」といったイメージが強く、縁起物とはなりません。

一方で「蓮根」は縁起の良い食べ物

蓮の花はお葬式の花というイメージが強いですが、その根である「蓮根(レンコン)」はお正月のおせち料理の定番の一品としてよく知られています。

レンコンが縁起の良い理由はその形です。たくさんの穴があいている事から、先を見通せるという意味や節があることで、人生の節目になぞらえて、未来を願うめでたい縁起物として好まれています。レンコンの花である蓮は縁起が悪いのになんだか変な感じもしますが、古くから伝統的に食されてきた野菜の一つ。

おせち料理には縁起の良いとされる食材が多く用いられます

日本独自の蓮の解釈

蓮が縁起が悪いとされている国は珍しく、日本独特な宗教観によるものであると考えられています。とはいえ、蓮の花は大変美しく、国内に広く群生しており、開花を迎える夏には各地で見物客で賑わいます。
縁起が良い悪い抜きにして花の美しさを愉しむのも良いでしょう。

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