身近な存在でもある「指輪」を今回は取り上げてみました。
縁起物としてどんなご利益があるのでしょうか?
指輪のルーツ
もともと指輪は、魔除けや護符、また地位や身分の証明、それに婚約や既婚の印ですとか、武器として身に付けたとかが始まりのようです。
起源としては、麻や葦などの植物の紐で結び目を作り輪っかにして、魔除けや無病息災などのおまじないとして体の一部分に巻く風習から始まったと言われています。3000年以上前の紀元前の古代エジプトではすでに指輪は存在していたようで、遺跡から出土した宝飾品の中には、金や銀の指輪があったといいます。その後、指輪を身につける文化は古代ギリシア・古代ローマに広がっていきました。
ヨーロッパにおける指輪(リング)の歴史
古代ローマはじめとするヨーロッパに指輪が伝わると、瞬く間に広がり、権威の象徴、あるいは願い事を叶えるためとか、両手にいくつもはめる人も現れたほど多くの人々に用いられるようになりました。
婚約指輪として贈る習慣が始まったのも、古代ローマ時代からのようです。歴史資料によると、当時のローマ人が、鉄の指輪を婚約の誓約の証として贈ったと書き残されています。結婚指輪の原型も同時代に誕生しています。
しかし現代のように男女がお互いに指輪を贈り合う習慣はまだ行われておらず、当時の結婚は、家と家の結びつきの手段であり、契約という意味合いが濃いため、契約の証として花嫁側の家に指輪を贈る習慣だったみたいです。
結婚の証としての指輪が公にみなされたのは、9世紀のローマ教皇ニコラウス1世と言われていますが、現代のような結婚指輪の交換は、11世紀頃の記録に初めて登場しています。その後、この習慣はヨーロッパ各地に広がりました。また、左手の薬指に指輪をはめるという習慣も、古代エジプトでは心臓に直結する静脈が左手の薬指と直接つながっていると考えられていたことから始まり、1614年には「ローマ典礼儀式書」において、指輪を左手薬指にはめることは「誠実と貞節の証」と言ったことから、当時のカトリック信者の結婚の貞操観念と重なり広まっていったようです。
中国や日本における指輪の歴史
中国での起源ははっきりしませんが、紀元前にはすでにあったという説があります。
指輪のことを中国語では「戒指」と書き、「指を戒める」つまり直訳すると「(指で)まちがいを起こさぬよう戒める」という意味になります。
古来中国では、男性の権力の象徴として、また女性の装身具として「戒指」は用いられていたそうです。
日本においては、中国から縄文時代ごろに伝わり、呪術者などが呪術的な意味を持つ証として身につけていたり、埋葬の際に副葬品としての役割があったとされていますが、その後、日本の歴史から指輪はほぼ消えてしまいます。おそらく、その後に入ってきた仏教にそぐわないと考えられたからでは無いでしょうか?
再び文献などで登場するのは、江戸時代になってからのようです。当時は「ゆびがね」や「ゆびはめ」と呼ばれて、明治時代になると、鎖国もなくなりキリスト教が普及し始めると、指輪の文化は瞬く間に日本中に広がりました。
指輪の持つ意味は
婚約指輪
婚約指輪の歴史は古代ローマから始まり、両家の家族間での「結婚の約束の契約」の証として、花婿から花嫁の家へ贈られていたと伝えられています。
結婚指輪
結婚指輪は、結婚の証として指輪を男女で交換し日々身に着けて、結婚していることを証明するものとされていますが、現在のスタイルが定着したのは、11世紀以降のヨーロッパだと言われています。円い輪を描く指輪は「永遠の愛」を象徴するものとされ、自身の分身として交換することで、夫婦の絆を深め、離れているときでも指輪が2人の愛を守るという意味があります。
地位や身分を証明する指輪
地位や身分、職業がその指輪をはめていることでわかるような指輪も古代よりありました。 「漁師の指輪 」と呼ばれるローマ教皇の指輪は、初代のローマ教皇ペトロが漁をする姿が彫り込まれているそうですし、また、枢機卿に選ばれた時に教皇から授けられた「枢機卿の指輪 」、神との永遠の契約を示した「聖職者がつける指輪」、武勇の印とした鉄の指輪の「騎士の身分を表す指輪」なども古代ローマではあるようです。
魔除けの指輪
よく知られているのは、蛇などの不死のシンボルが刻印された指輪で、邪気を寄せ付けない霊力が宿ると言われる貴石がついた指輪など、いつも身体に身につけて魔除けとして用いられたものもあります。
指輪をはめる指によって意味や願いが違う
右手は現実の力、左手は想う力を現し、左手は心臓に近い為、心や精神よる意味があります。
親指はリーダーや指導者の指と言われ、権力や権威を象徴して、信念を貫き通し、意志や望みが叶うという意味があります。古代ローマでは婚約指輪以外の指輪は、すべて親指にはめると望みが叶うとされていました。
また、戦場で弓を引く時に、親指を保護するための役割もあったようです。親指にはめる指輪は「サムリング」と言います。
人差し指は、成功・積極性・導き教える行動や開拓を象徴し、集中力や相手との意思疎通が高まるという意味があるそうです。また、ヨーロッパでは、大胆という意味もあります。人差し指にはめる指輪を「インデックスリング」と言います。
中指は、トラブル回避したり、直感やひらめきを象徴し、将来に対する道を切り開くという意味があると言います。 また、ヨーロッパでは、分別という意味もあるようです。中指にはめる指輪を「ミドルフィンガーリング」と言います。
薬指は、心臓に直結する静脈が左手の薬指と直接つながっていると考えられているので、指輪をする指としての意味から英語で「リングフィンガー」と呼ばれています。愛や結婚また創造を象徴し、精神の安定や愛の絆を深めるという意味があります。
また、薬指は、日本では「お姉さん指」 や 「名無し指」 や「紅差し指」など、中国では「無名指」 、ヨーロッパの一部の国でも「名無し指」と呼ばれています。なぜ名前が無い指なのかと言いますと、呪文や魔法をかけるときに、その対象の名前を呼びますが、魔除けという意味においても一番大切な指に名前がなければ、呪文や魔法はかけられないからという言い伝えがあるからのようです。薬指にはめる指輪の呼び名は「アニバーサリーリング」「エンゲージメントリング」「ウェディングリング」「マリッジリング(和製英語)」などと数多くあります。
小指は、チャンスや秘密を象徴し、チャンスを呼び込んだり、願いを叶えるという意味があるようです。また、ヨーロッパでは、傲慢という意味もあるそうですので気を付けなければなりません。小指にはめる指輪を「ピンキーリング」と言いこの呼び方は最近では結構耳にするようになりました。
いつから結婚指輪を二人ではめるようになったのか 9世紀、ローマ教皇であるニコラウス1世の結婚が由来とされていて、ニコラウス1世が結婚したとき、花嫁に金の指輪、花婿に鉄の指輪を交換したとのことです。この後に少しずつ結婚指輪を交換する習慣が広まり、13世紀には男女間で結婚指輪を交換することが一般的となっていました。今のようにダイヤの結婚指輪が用いられるようになったのは15世紀で、これ以降ダイヤのカッティング技術向上とともにダイヤの結婚指輪が一般的となっていきました。
日本で結婚指輪の交換が行われるようになったのは戦後のことです。瞬く間に結婚指輪の文化は広がっていき、今では97.4%のカップルが結婚指輪交換を行っているとのことです。
「ソロモンの指輪」や「指輪物語」
指輪をめぐっての有名なお話として簡単にご紹介します。
ソロモンの指輪
エルサレムで建設中の神殿が思うように進まず、困り果てたソロモン王は、モリヤ山の高く突き出た岩に登り、神であるヤハウェに祈ると、突然、まばゆい光と共にエメラルドの翼を持つ大天使ミカエルが現れ、黄金に輝く指輪を差し出してこう言った。
「受け取るがよい、王にしてダビデの子なるソロモンよ。主なる神、いと高きゼバオト(万軍(英語版)の主)が汝にくだされた賜物を。これによって、汝は地上の悪霊を男女とともにことごとく封じるであろう。またこの指輪の助けによって、汝はエルサレムを建てあげることが出来るだろう。だが、汝はこの神の印章を常に身に帯びねばならぬぞ」と。
その後、ソロモン王は指輪の力により、多数の天使や悪魔を使役し神殿を建築した。良き魔神(天使)を使役する場合は真鍮の部位を、悪き魔神(悪魔)を使役する場合は鉄の部位を投げ当て、呪文を唱えるといかなる魔神も強制的に従わせた。
指輪物語
イギリスのJ・R・R・トールキンによる長編小説。妖精や魔法使いが国家を築き、戦争を繰り広げる架空の世界を舞台としたハイ・ファンタジー作品である。初期作品『ホビットの冒険』の続編として始まるが、より大きな物語になった。1937年から1949年にかけて少しずつ書かれましたが、執筆期間の大部分は第二次世界大戦中であった。最初の版は1954年から1955年にかけて3巻本として出版された。以来多くの言語に翻訳され、増刷を重ね、20世紀文学で最もポピュラーな作品の一つになった。
身に付ける特別な物
指輪とはこのように、魔除けで会ったり、願いが込められたり、誓いであったり、契約であったりと様々な意味が込められ、体に付ける装身具の中では一番のパワーがある特別な存在のようです。
贈られたものだと、贈った方の思いも込められています。
意味を知って、感じて、ぜひご利益に繋げて行ってください。
身近な存在でもある「指輪」を今回は取り上げてみました。
縁起物としてどんなご利益があるのでしょうか?
指輪のルーツ
もともと指輪は、魔除けや護符、また地位や身分の証明、それに婚約や既婚の印ですとか、武器として身に付けたとかが始まりのようです。
起源としては、麻や葦などの植物の紐で結び目を作り輪っかにして、魔除けや無病息災などのおまじないとして体の一部分に巻く風習から始まったと言われています。3000年以上前の紀元前の古代エジプトではすでに指輪は存在していたようで、遺跡から出土した宝飾品の中には、金や銀の指輪があったといいます。その後、指輪を身につける文化は古代ギリシア・古代ローマに広がっていきました。
ヨーロッパにおける指輪(リング)の歴史
古代ローマはじめとするヨーロッパに指輪が伝わると、瞬く間に広がり、権威の象徴、あるいは願い事を叶えるためとか、両手にいくつもはめる人も現れたほど多くの人々に用いられるようになりました。
婚約指輪として贈る習慣が始まったのも、古代ローマ時代からのようです。歴史資料によると、当時のローマ人が、鉄の指輪を婚約の誓約の証として贈ったと書き残されています。結婚指輪の原型も同時代に誕生しています。
しかし現代のように男女がお互いに指輪を贈り合う習慣はまだ行われておらず、当時の結婚は、家と家の結びつきの手段であり、契約という意味合いが濃いため、契約の証として花嫁側の家に指輪を贈る習慣だったみたいです。
結婚の証としての指輪が公にみなされたのは、9世紀のローマ教皇ニコラウス1世と言われていますが、現代のような結婚指輪の交換は、11世紀頃の記録に初めて登場しています。その後、この習慣はヨーロッパ各地に広がりました。また、左手の薬指に指輪をはめるという習慣も、古代エジプトでは心臓に直結する静脈が左手の薬指と直接つながっていると考えられていたことから始まり、1614年には「ローマ典礼儀式書」において、指輪を左手薬指にはめることは「誠実と貞節の証」と言ったことから、当時のカトリック信者の結婚の貞操観念と重なり広まっていったようです。
中国や日本における指輪の歴史
中国での起源ははっきりしませんが、紀元前にはすでにあったという説があります。
指輪のことを中国語では「戒指」と書き、「指を戒める」つまり直訳すると「(指で)まちがいを起こさぬよう戒める」という意味になります。古来中国では、男性の権力の象徴として、また女性の装身具として「戒指」は用いられていたそうです。日本においては、中国から縄文時代ごろに伝わり、呪術者などが呪術的な意味を持つ証として身につけていたり、埋葬の際に副葬品としての役割があったとされていますが、その後、日本の歴史から指輪はほぼ消えてしまいます。おそらく、その後に入ってきた仏教にそぐわないと考えられたからでは無いでしょうか?
再び文献などで登場するのは、江戸時代になってからのようです。当時は「ゆびがね」や「ゆびはめ」と呼ばれて、明治時代になると、鎖国もなくなりキリスト教が普及し始めると、指輪の文化は瞬く間に日本中に広がりました。
指輪の持つ意味は
婚約指輪
婚約指輪の歴史は古代ローマから始まり、両家の家族間での「結婚の約束の契約」の証として、花婿から花嫁の家へ贈られていたと伝えられています。
結婚指輪
結婚指輪は、結婚の証として指輪を男女で交換し日々身に着けて、結婚していることを証明するものとされていますが、現在のスタイルが定着したのは、11世紀以降のヨーロッパだと言われています。円い輪を描く指輪は「永遠の愛」を象徴するものとされ、自身の分身として交換することで、夫婦の絆を深め、離れているときでも指輪が2人の愛を守るという意味があります。
地位や身分を証明する指輪
地位や身分、職業がその指輪をはめていることでわかるような指輪も古代よりありました。 「漁師の指輪 」と呼ばれるローマ教皇の指輪は、初代のローマ教皇ペトロが漁をする姿が彫り込まれているそうですし、また、枢機卿に選ばれた時に教皇から授けられた「枢機卿の指輪 」、神との永遠の契約を示した「聖職者がつける指輪」、武勇の印とした鉄の指輪の「騎士の身分を表す指輪」なども古代ローマではあるようです。
魔除けの指輪
よく知られているのは、蛇などの不死のシンボルが刻印された指輪で、邪気を寄せ付けない霊力が宿ると言われる貴石がついた指輪など、いつも身体に身につけて魔除けとして用いられたものもあります。
指輪をはめる指によって意味や願いが違う
右手は現実の力、左手は想う力を現し、左手は心臓に近い為、心や精神よる意味があります。
親指はリーダーや指導者の指と言われ、権力や権威を象徴して、信念を貫き通し、意志や望みが叶うという意味があります。古代ローマでは婚約指輪以外の指輪は、すべて親指にはめると望みが叶うとされていました。
また、戦場で弓を引く時に、親指を保護するための役割もあったようです。親指にはめる指輪は「サムリング」と言います。
人差し指は、成功・積極性・導き教える行動や開拓を象徴し、集中力や相手との意思疎通が高まるという意味があるそうです。また、ヨーロッパでは、大胆という意味もあります。人差し指にはめる指輪を「インデックスリング」と言います。
中指は、トラブル回避したり、直感やひらめきを象徴し、将来に対する道を切り開くという意味があると言います。 また、ヨーロッパでは、分別という意味もあるようです。中指にはめる指輪を「ミドルフィンガーリング」と言います。
薬指は、心臓に直結する静脈が左手の薬指と直接つながっていると考えられているので、指輪をする指としての意味から英語で「リングフィンガー」と呼ばれています。愛や結婚また創造を象徴し、精神の安定や愛の絆を深めるという意味があります。
また、薬指は、日本では「お姉さん指」 や 「名無し指」 や「紅差し指」など、中国では「無名指」 、ヨーロッパの一部の国でも「名無し指」と呼ばれています。なぜ名前が無い指なのかと言いますと、呪文や魔法をかけるときに、その対象の名前を呼びますが、魔除けという意味においても一番大切な指に名前がなければ、呪文や魔法はかけられないからという言い伝えがあるからのようです。薬指にはめる指輪の呼び名は「アニバーサリーリング」「エンゲージメントリング」「ウェディングリング」「マリッジリング(和製英語)」などと数多くあります。
小指は、チャンスや秘密を象徴し、チャンスを呼び込んだり、願いを叶えるという意味があるようです。また、ヨーロッパでは、傲慢という意味もあるそうですので気を付けなければなりません。小指にはめる指輪を「ピンキーリング」と言いこの呼び方は最近では結構耳にするようになりました。
いつから結婚指輪を二人ではめるようになったのか 9世紀、ローマ教皇であるニコラウス1世の結婚が由来とされていて、ニコラウス1世が結婚したとき、花嫁に金の指輪、花婿に鉄の指輪を交換したとのことです。この後に少しずつ結婚指輪を交換する習慣が広まり、13世紀には男女間で結婚指輪を交換することが一般的となっていました。今のようにダイヤの結婚指輪が用いられるようになったのは15世紀で、これ以降ダイヤのカッティング技術向上とともにダイヤの結婚指輪が一般的となっていきました。
日本で結婚指輪の交換が行われるようになったのは戦後のことです。瞬く間に結婚指輪の文化は広がっていき、今では97.4%のカップルが結婚指輪交換を行っているとのことです。
ソロモンの指輪」や「指輪物語」
指輪をめぐっての有名なお話として簡単にご紹介します。
ソロモンの指輪
エルサレムで建設中の神殿が思うように進まず、困り果てたソロモン王は、モリヤ山の高く突き出た岩に登り、神であるヤハウェに祈ると、突然、まばゆい光と共にエメラルドの翼を持つ大天使ミカエルが現れ、黄金に輝く指輪を差し出してこう言った。
「受け取るがよい、王にしてダビデの子なるソロモンよ。主なる神、いと高きゼバオト(万軍(英語版)の主)が汝にくだされた賜物を。これによって、汝は地上の悪霊を男女とともにことごとく封じるであろう。またこの指輪の助けによって、汝はエルサレムを建てあげることが出来るだろう。だが、汝はこの神の印章を常に身に帯びねばならぬぞ」と。
その後、ソロモン王は指輪の力により、多数の天使や悪魔を使役し神殿を建築した。良き魔神(天使)を使役する場合は真鍮の部位を、悪き魔神(悪魔)を使役する場合は鉄の部位を投げ当て、呪文を唱えるといかなる魔神も強制的に従わせた。
指輪物語
イギリスのJ・R・R・トールキンによる長編小説。妖精や魔法使いが国家を築き、戦争を繰り広げる架空の世界を舞台としたハイ・ファンタジー作品である。初期作品『ホビットの冒険』の続編として始まるが、より大きな物語になった。1937年から1949年にかけて少しずつ書かれましたが、執筆期間の大部分は第二次世界大戦中であった。最初の版は1954年から1955年にかけて3巻本として出版された。以来多くの言語に翻訳され、増刷を重ね、20世紀文学で最もポピュラーな作品の一つになった。
身に付ける特別な物
指輪とはこのように、魔除けで会ったり、願いが込められたり、誓いであったり、契約であったりと様々な意味が込められ、体に付ける装身具の中では一番のパワーがある特別な存在のようです。
贈られたものだと、贈った方の思いも込められています。
意味を知って、感じて、ぜひご利益に繋げて行ってください。
コメント