音の縁起物「鈴(すず)」その意味や由来を解説

本ページはプロモーションが含まれています

鈴(すず)とは、音を出す道具のひとつです。土器や金属、陶器などでできた中が空洞の外身の中に小さな玉が入っていて、全体を振り動かすことで音を出すものです。

目次

鈴と鐘の違い

鈴に似たものに鐘がありますが、鐘は人間が、金属で出来た舌(ぜつ)や撞木を動かして音を生じさせるものです。鐘の場合、舌や撞木は人間が触れることができ、紐やワイヤーで鐘の外身あるいは鐘の置かれた建造物とつながれています。
鈴の場合は鐘とは異なり、中の玉は外身にくるまれており人間が触れることはできず外身ともどこともつながれてはいません。
英語では鐘も鈴も「bell」と呼びます。

鈴のはじまり

鈴は、縄文時代にクルミなどの木の実や豆を振ると外殻や鞘の中で種子が動いて鳴ることに着想を得て作られた道具ともいわれています。豆や木の実の種子が殻や鞘とはくっついておらず何処にもつながれていないのに外殻とともに成長するというのが、神秘的だと思われたようです。
人間がいつから鈴を用いているのかははっきりしない定かではありません。鈴や鐘、太鼓、笛といった音のでる器物は、古くから人間の暮らしに深くかかわってきました。音を出す道具とは、獣や魔物を追い払って生命を守るものであり、同時に家畜などを呼び寄せたり、神を引き寄せる合図を出すものでもありました。

日本でも縄文時代には既に土鈴(どれい)と呼ばれる音を出す用途を意図して作られた器物が存在していますし、弥生時代には鐘の類である銅鐸が存在しています。古墳時代中期の5世紀ごろになると金属製の丸い鈴が出現しています。古墳時代に製作された埴輪の人物、馬、犬などには鈴を身に着けたものがあるのです。

『日本書紀』には、置目という名の老婆が顕宗天皇のもとに亡父の骨の所在を示したため、天皇は礼として置目を宮殿の近くに住まわしめ、自分のもとに参る時は「縄の端に鐸を掛けて鳴らし、取次の者に到着を知らせよ」と詔したという記述があります。

農耕が始まってからは農作物を荒らす動物を追い払うため鳴子を田畑に設置したり、現在でも山菜採りなどで山に入るときには熊除けなどのために鈴を腰につけていったりします。土鈴については郷土玩具や縁起ものとして江戸時代以降に作られている素焼きに絵付けをしたものもあります。

「鈴」に関してのあれこれ

ただし、神社で鈴を鳴らして拝むのは戦後に広く行われるようになったもので、出雲大社などでは昔も現在も拝殿に鈴はありませんし、地域の社や祠などにももともと鈴はさげられていなかった。柏手を打って拝むのが本来でありました。

神社で、神楽舞(かぐらまい)を舞うときに巫女が手に持って鳴らす「巫女鈴」(神楽鈴)というものもありますが、これは「鈴なり」の言葉の語源になったということです。

出雲大社では「瑞鈴」という鈴を用います。これは毎年8月に行う「みたまむすびの霊行」に、氏子や教信徒らが本殿瑞垣内神域を「おにわふみ」を行う時に抱く神聖な鈴です。

また、キリスト教の一教派である正教会では、振り香炉に鈴が取り付けられ、その音により祈る者の心を神の国へと向ける働きを持たせています。

古代中国においては、「仙道(せんどう)に琉金(りゅうきん)の鈴有りて以て鬼神を摂(おさ)む」(陶弘景『真誥』)とされていまして、その清らかな音色によって邪霊が祓(はら)われると信じられていました。

神社の拝殿(はいでん)でも吊された金色の鈴を振ってお参りするのは、鈴はその清淨(せいじょう)な音色に邪気を祓うといわれるからです。

鈴の縁起物としての効果は、音によるその場のお清め、人の心をリラックスさせるという意味も持っています。
バリ島に伝わる「ガムランボール」はシルバーで作られた、装飾も美しい鈴のお守りです。何でも願いを叶えてくれると言われています。

歴史の古い縁起物

「土鈴」は、縄文時代から粘土を焼いて作られているほど歴史の古い縁起物です。土鈴と言えば郷土品というイメージが強いですが、かわいらしい土鈴もただの飾り物だけではありません。昔の祭祀遺跡から発見されることからもわかるとおり、儀式にも使用されていたのです。鈴の音は邪気を払い、神様を降ろしてくれるの道具として古代の占いやお祭りには大事な役割を果たすものだったのです

「鈴」で大事なのは「音」間違えてはいけないのが、力があるのは「鈴」自体ではなく、「鈴の音」だということです。音を出してこそ力を発揮する鈴は、しまったりせずに、財布の外側や鍵の束にチリンと鳴る状態で付けることが大事です。選ぶ際も、出来れば鈴の音を意識して聞いて「良い音」と感じた者を選ぶのが、「鈴」を縁起物とするのに重要だと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次